先日、Volkswagen(フォルクスワーゲン)up!に数時間乗る機会があったので感じたまま記事にします。
車には、その特有の癖があるものがあります。
そして、そういった車を乗りこなす喜びを感じる人もいます。
間違いなくup!はそういった部類の車でしょう。
車の実用性や燃費ばかりが重要視されがちな日本において、「走る」、「止まる」といった車の基本性能を重視した車の存在意義を考えることは重要じゃないでしょうか。
僕も車の「走り」に関する部分が好きです。
とはいえ、up!に乗ったところ、僕にはどうしても違和感があったので今回の記事で紹介します。
Volkswagenのup!とはどういう車なのか!?
日本ではup!はルポの後継モデルとなります。
どのようなコンセプトの車なのか、Wikipediaで調べてみました(笑)
高い質感と大人4人が無理なく乗れる室内スペースを確保した上で1万ユーロから購入できることを目指して開発された。ボディの67%に軽量化と高剛性を両立させる熱間成形鋼板や超高張力鋼板を採用し、2ドア版で車重900kgを実現しながらユーロNCAPで最高の5つ星となる高い安全性を実現している。発売開始時のドイツ本国価格は約9,850~13,700ユーロ。
低価格実現のためパワーウィンドウはフロントのみでスイッチは各ドア毎の個別配置となっており、リアウィンドウは3ドアが固定の“はめ殺し”、4ドアは前側のヒンジを支点に開閉する方式で後端が外側に数cm浮き上がる程度である。またドアミラーは手動格納式、給油キャップのロックにメインキーを必要とするなど、装備に割り切りが見られる。
up!のミッション「ASG」にはかなり癖があります。
ASGのような「シングルクラッチセミAT」は欧州などでは一般的なようですが、国産車のCVTなどに慣れている人で、初めて乗った人は好みが大きく分かれます。
up!の購入を検討している人は、是非複数回、じっくりと運転してみることをおすすめします。
それで気に入ったのなら、いい車と出会ったということです。
外観に惚れただけで買う車ではありません。乗り手を選びます。
今回、up!が好きで乗っている方には申し訳ないのですが、「シングルクラッチセミAT」に初めて乗った視点、及びup!の装備に関して辛口で書いていきます。
車を褒めるだけなら、メーカーお抱えの自動車評論家ができることなので、僕なりの考えを率直にまとめます。
筆者の車歴
まず最初に、僕がこれまで乗った車を紹介させてください。
個人所有車
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NISSAN SILVIA S13(5MT)
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NISSAN SILVIA PS13(5MT)
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SUBARU LEGACY BH5(4AT)
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Volkswagen Golf V GTI(6AT DSG)現在所有
19歳の頃から車に乗るようになり、運転歴は14年になります。
個人所有車はこの5台ですが、他、実家の車3台、レンタカーや、代車、友人から借りて運転した車などを合わせると、軽自動車から小型トラックまで30台36台(2017年2月現在)ほどになります。
Volkwagenの車は、台車や1日試乗で5台ほど乗りました。
走り屋ではないですが、ドライブすることが大好きです。
DIYでエアコンコンプレッサーの交換や車高調の取り付け、カーセキュリティの取り付け、ドライブレコーダー、バックカメラ、非キーレス車をキーレス対応する…など、色んな箇所を自分でいじってきた経験もあります(今回の記事には関係ないですね)。
とにかく、キビキビと走る車が好みです。
Volkswagen up!に乗りました
今月、ディーラーでup!を借りて、。走行距離15,000kmの比較的新しい車両を4時間ほど運転しました。
フォルクスワーゲンの車って、シンプルですよね。
ちょっとゴテゴテした見た目が好きな人は、最初から選ばない車メーカーです。
無駄を削ぎ落としたデザインをコンセプトにしているのがいいですね。
なぜだか歳を重ねていくと、こういうシンプルで飽きがこないデザインが好きになっていきます。
さて、up!のデザインを見ると、全体的にシンプルでオシャレなのですが、ホイールハウスの空間が広すぎる点が気になります。
真っ先にそこに目が行くのはスポーツカー好きだからしょうがないのかも。
写真が逆光で、色味が分かりづらいんですが、リアのデザイン、カラーリングが個性的ですね。
見かけた当初は、この車のリアデザインは他に類を見ない…と思っていたんですけど、新型のスズキ アルトのリアは、かなり似せた感じのデザインになりましたね。
スズキが真似をしたんでしょうか。
up!は、車の名称にエクスクラメーションマーク「!」が使われている点にポップさを感じます。
しかし、iPhoneで撮った写真がほんとひどい。。スマホで撮るにしても、これからもう少し綺麗に撮れるように練習します。
続いてはエンジンルームの写真。ボンネットを開ける前から分かってはいますが、1.0L直列3気筒のエンジンはやっぱりショボいですね。
モデルにもよりますが、60ps〜75ps程度の最高出力です。
軽自動車くらいのパワーです。ただ、運転してみると思いの外パワフルに走らせることができました。
マニュアルモードで高めの回転数でシフトする楽しみがあります。
ポロGTIやゴルフGTIなどは市街地では回転を上げてパワーを発揮する場面はなかなかありません。
もちろんGTIといったグレードでなくても、最近のVWの車は、直噴のダウンサイジングターボが基本となっているので、低速でも回転数をあげずに力強く走ってくれます。
up!は非力な分、街乗りでエンジンを回す楽しみがあります。
助手席側から、運転席をパシャリ。写真だと質感がよく見えますが、実物を見ると、安っぽいプラスチックです。
同価格帯の国産車の方が、だいぶ質感は上です。
色合いやデザインは悪くはないんですけどね。。
センターコンソールは使い勝手が悪く、シフトレバーの前に1本だけ収納できるドリンクホルダーがあるのみです。
後部座席も中央にドリンクホルダーが1つだけ用意されているのみ。
ドリンクホルダーが前列に4つもあり、収納スペースも十分に確保された、国産の軽自動車の方が使い勝手はもちろん上です。
ただし、国産の軽自動車やコンパクトカーは、実用性を重視した車ばかりで、走りはおもちゃのような車が多いです。
日本の消費者の大多数は走りを求めないので、日本の一般的な車は、走りの部分は欧州車に比べてかなり軽視されています。
走る、止まる、曲がるといった基本性能は、明らかにup!が上だと感じました。
助手席のドアヒンジはこんな感じです。
僕はゴルフV GTIに乗るようになり、ドアヒンジを見たところ、かなり厚みがありしっかりしていて、いかにも頑丈な印象を受けて驚きましたが、up!のドアヒンジは国産車の軽やコンパクトとそんなに変わらない印象を持ちました。
ただ、ボディ剛性は同クラスの国産車よりも上な気がします。
4時間程度の試乗だったので、もっと長い時間運転すれば、ボディ剛性の違いなどしっかり実感できたことでしょう。
後部座席の写真を撮り忘れてしまったんですが、なんと、後部座席にはパワーウィンドウがない!
価格を抑えるためとのことで、割り切られていますね。
基本前列2席をメインで使う、2名乗車の車なんだと考えれば、リアのパワーウィンドウは不要な部品と考えられるかもしれませんが、不便そうです。
さらには運転席で助手席のパワーウィンドウの開け閉めができません。
運転席側のパワーウィンドウも、押しっぱなしでオートにするといったことができません。
up!に乗ることで、ゴルフV GTIがいかに豪勢によくできているかを実感しました。
2016年にはゴルフVII ハイライン、ゴルフGTEなども試乗しましたが、高級車並みの装備となっています。
up!は発売開始時のドイツ本国価格は約9,850~13,700ユーロということなんですが、そのくらいの価格帯であれば、是非とも全ての座席をパワーウィンドウにして、運転席でコントロールできるようにしてほしいものですね。
Volkswagenの車の中では安いと言っても、日本じゃup!の価格は154.8万円〜194万円くらいはしますからね。
この車を新車で買える予算があれば、ディーラーの認定中古車で数年前のポロGTIやゴルフGTIなんかも買えてしまうので、そちらも是非比較検討してほしいです。
僕が所有しているゴルフV GTIは、乗っていてもっと運転が楽しいし、装備が快適ですよ。
最近は禁断のVCDSコーディングに挑戦して、ますます自分好みに進化しました(笑)
up!のラゲッジルーム
さて、up!のリアの荷室(ラゲッジルーム)はこんな感じになっています。
ゴルフもそうですが、外観の割には意外と荷物が入るかもしれないです。
日常使いで、スーパーの買い物などでは困らないスペースが確保されています。
だけど、ベビーカーとかは多分ギリギリ載せられるかどうかのレベルですね。A型は無理で、B型ベビーカーなら入るかも…という感じです。
ベビーカーを乗せる予定があるのなら、試乗の際に乗せられるか試してみてください。
ただし、ベビーカーを載せたら他のものは確実に荷室には入りません。
ちょっと大きな荷物は座席側に置くことになります。
まあ、ポロであってもベビーカーをラゲッジルームに載せるのは結構厳しいんですけどね。
荷室は2段になっていて、さらにその下のカーペット部分を剥がすと工具入れとなっています。
Volkswagen up!の居住性に関して
大人4人が乗っても、なんとかなりそうなスペースが確保されています。
特にリアは思ったよりも広かったですね。
軽自動車のワンボックスカーとかに比べたら、後部座席は少し狭いと思うんですけど、極端に狭いってことはなかったです。
ドイツ人が座れるんですからね!
天井も意外と高い印象でした。
Volkswagen up!の走行に関して
up!は先述したとおり、ASGというトランスミッションとなっています。
これがなかなか厄介な代物。
ASGトランスミッション Dモード
up!に搭載されたASGは、ATやCVTとは似て非なるトランスミッションです。クラッチペダルがない点はATと同じですが、ドイツ語で「オートメーテッド マニュアル トランスミッション」という名前のとおり、MTをベースにしており変速は自動で行うシステムです。
この車のミッションはどんなものか当初楽しみにしていたんですが、最初にDモードで運転した時、そのギクシャクさにびっくりしました。
なんというかマニュアル車で運転が下手な人の車に乗せられている気分です。
シフトが切り替わる度に身体が前後します。これ、変則時、外から見てても車体が揺れていて、おかしな挙動をしているんじゃないですかね。
こんなにおかしな自動変則をする車には初めて乗りました。
そしていざ自動で変速する際には、急激にトルクが抜ける瞬間があり、直後、後ろから押されたんじゃないかという具合に再加速します。
さらに、クリープ現象が全くないので、アクセルを踏まない限り車が前に進みません。
ネットでこの車のレビューを読んでいて、慣れると書かれていたんですが、わざわざ慣れていくよりも、最初から違和感がない車に乗りたいよなーと正直なところ感じました。
アイドリング時のエンジンの振動も気になります。
ゴルフV GTIよりも強い振動を感じます。信号待ちでギアをNにしても振動は止まりません。
Dモード(ATモード)はあくまでもオマケだそうです。Mモードで走る事こそが本来の走らせ方なのだそう。
ASGトランスミッション Mモード
Dモードは確かにクソみたいでしたが、Mモードで運転したところ驚きがありました。
普通のオートマみたいに運転していては、相変わらずギクシャクした挙動になるんですが、マニュアルと同様にシフトチェンジの時にアクセルペダルを離すようにしたら、スムーズな上に、…お、これはちょっと楽しい。
回転数を高めでビシバシとシフトチェンジしていると、気持ちがいいのです。
本国ではMモード主体で運転されていたりするんでしょうか。
ただし、日本ではこの車を購入したがる層(特に女性)の人達が、皆こんなマニュアル操作が好きだとは考えられません。
Dモードも違和感なく走行できるものであってほしいものです。
今後、日本仕様として改善されたりしないのでしょうか。
VWに日本のマーケットは軽視されているようなので、難しいですかね。
ゴルフV GTIは、DSGミッションとなっていて、Dモードもマニュアルモードもすごくよくできています。どちらも変速がスムーズで快適。
普通のAT車とほぼ同様に運転することが可能です。マニュアルのシフトチェンジタイミングはかなりレスポンスがいいです。
走りを楽しみたいなら、GTIやRがいいんじゃないかなーと個人的には思うのですが、up!の見た目の魅力は大きいですよね。
up! GTIが出る予定があるみたいですね…!
どのような仕上がりになってくるのか、楽しみです。
今回の結論
Volkswagen(フォルクスワーゲン)up!を運転してみて思ったことは、僕が運転した車の中では、今までで一番違和感がある車だったということでした。
ASGのDモードがどうしても好きになれなかったです。
up!の違和感
- 内装がかなりチープ
- 快適装備に欠ける
- パワーウィンドウがダメ、後部座席は窓が開かないず、助手席の窓は運転席のスイッチで開けることはできない
- ASGトランスミッションのDモードはストレスが溜まる
外観は優れているので残念です。
up!の良い点
up!の魅力を、所有者の方数名からご連絡いただきました。
ありがとうございます。
- コンピューターがドライバーの癖を学んで、乗れば乗るほど自分好みのシフトになる
- DSGの方が優れているが、ASGも慣れれば楽しい
- high up!にはクルーズコントロールがある(アダプティブではない)
- サイドミラーに曇り取りの熱線があり、左右連動調整もできる
- 国産車の軽自動車とボディサイズが同じで取り回しが非常にラク
- ボディ剛性は高い
- 自動ブレーキシステムを全車装備
きちんと走る車が好きな人、ASGが好きになれる人はup!長く愛着が持てそうです。
徹底的に批判記事を書くつもりが、なんだか中途半端になってきてしまいました(笑)
【追記】 2015年式のポロGTIに試乗しました
2016年8月、走行距離6,000km代の2015年式ポロGTIを4日間乗りました。
こちらは過去最高に素晴らしいコンパクトカーでした!前編後編の2本立てで記事を書いています。